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家族写真家ハマノジョウスケの理想とする「ウエディングフォト」をひっくるめた「家族写真」、そしてお客様との関係性について、実際のお客様のご協力を得てご紹介します。
ハマノが独立したのは東日本大震災を機に、多くの想い出が失われた被災地のど真ん中で家族写真に真っ向勝負するためでしたが、もうひとつ、既存の写真館や結婚式場専属のフォトグラファーでは不可能な、理想の撮影サービスを実現するためでもありました。
いささか大仰ですが、いわゆる日本の伝統的な写真館ビジネスの再構築と言い換えてもいいかもしれません。
なお、以下の実例は仙台市を拠点としていた際に結婚式を撮影し、以降は滋賀県甲賀市へと移転しています。
結婚、新しい家族のはじまり
2014年7月、当時の仙台市内の自宅兼事務所に、あるご新婦様から仙台での結婚式(同年9月)撮影のお問い合わせをWeb経由で頂戴しました。
メールでやりとりしたうえで約1週間後にSkypeでお二人とミーティングを行い、結果、8月中旬に仙台市内の結婚式場にて実際に対面でのお打ち合わせを行うことになりました。
対面でのお打ち合わせのタイミングでは必ず、エンゲージメントフォトという私服での撮影を体験して頂いています。プロのフォトグラファーの撮影、そして私自身の個性を実際に理解していただくことが目的です。
お打ち合わせの際、当日お身体のご都合で列席できないお祖母様に写真を見てほしい、というご要望を頂戴しました。お祖母様のご住所をお伺いすると、クルマで高速を使用すればそれほど遠くはない距離でした。
アルバムのご注文を頂戴しましたのでその一部利益を原資として、出張料のみご負担いただくことで、お二人と一緒にお祖母様のご自宅にお伺いしての記念撮影をご提案しました。
結果としてお二人はもとより、お祖母様にも大変喜んでいただくことができました。
通常、結婚式場で提供しているフォトサービスや写真室では、結婚式場がサービス全体の主導権を握っているため、お客様のご事情に一歩踏み込んでサービスすることは原則、難しいです。可能だとしても結婚式場へのマージン等の事情により、高額となってしまいがちです。
私たちは結婚式場に不透明なマージンを払わなくて済む分、お客様にこうした創造的なサービスをご提供させていただくことが重要であり、理想と考えています。
結婚式当日の決定的瞬間をできる限り
通常の結婚式場での撮影はお支度が仕上がったあとのメイクシーンからが通例ですが、お二人が会場入りする時間にあわせてスタートします。
お二人の結婚式はもう、すでに始まっています。出来る限り、結婚式のすべてをお撮りしたいのです。お二人が登場しない場面にも、ドラマがあるからです。
結婚式場写真室の所属ならびにマネージャー、式場提携のフォトグラファーとしての経験を生かし、式場のスタッフとのコミュニケーションを密にして、ご要望を余さずお応えするのがモットーです。この日は同じ結婚式場内で2次会まで撮影を行いました。
参考:結婚式場選びのポイント
ご要望によくあるお二人の自然なポージングを施したスナップ写真、全員集合写真は、特に重要な想い出のシーンと思います。結婚式場選びの際には、当日に撮影可能かどうかをチェックされた方が良いでしょう。時間や会場の制約で当日は省かれたり、不可能な場合があります。
ちなみに、このお客様はいわゆる「型物」と呼ばれるフォーマルなお二人のポートレート、親族集合写真を式場にてご依頼されました。
こうしたフォーマル撮影は大型のストロボを擁するスタジオ、ひな壇といった特殊な設備が必要のため、スナップ撮影では対応が難しいこともありますので、ご承知おきください。
なお、昨今の結婚式場は外部からの持ち込みを徹底して排除する傾向にあり、また、あくまでも結婚式場にとって(コスト的にもストーリー的にも)理想のフォーマットをお客様に押し付ける傾向にあると感じています(そして、お客様もそれを自分たちのオリジナルと錯覚しがちです)。
そうした観点から、既存の結婚式場(ホテル・ウエディングプロデュース会社を含む)による結婚式撮影は、私どものサービス基準を満たしていないと判断し、現在はお断りいたしております。
「想い出を守るため」のアルバム
マテリアル(物質)にプリントした写真の耐久性は、東日本大震災の津波災害で図らずも明らかとなりました。「あらゆる事故や災害から大切な想い出を守る」という私たちの理念を実現するため、なかでも重要なのがプリントであり、アルバムです。
このデジタル時代にもっとも恐ろしいのは、物理的電気的トラブルによるデータ事故です。一瞬ですべて失われますから………。
アルバムをご依頼いただき、じっくりと時間をかけて制作の末、完成しました。2016年2月にたまたまタイミングがあったので私自身が特別にお届けすることに………(ちなみにこの時点で私は家族の事情により、滋賀県甲賀市へと移転しておりました)。
経験上、男性の多くは写真を苦手とするパターンが多いです………。が、十分なコミュニケーションをとって信頼関係を築いて撮影に臨んでいますので、仕上がりを非常に楽しんでいただくことができました。
当然のことながら、撮影データも枚数無制限にてお届けいたしますので、チェックしていただきます。
現在は、Webアルバムを経由したデータ納品、DVD-Rパッケージ納品(DVD-Rは複数枚に及ぶこともあります)、撮影のボリュームによってはUSBメモリ納品の3つを併用しています。
昨今、CDやDVDといったディスクメディアも20〜30年で劣化して読み取れなくなるとの観測が報告されておりますので、データの保管はお客様自身にも責任をもってとりくんでいただく必要があります。
このときご注文いただいたスタンダードアルバム(ケース付)は、およそ80ページ200カットのボリュームです。非常に高級感のある仕上がりですので、それぞれの親御様への贈答としてもご安心いただけるクオリティです。
原則、見開きの際にフルフラットとなる仕様のアルバムのみをラインナップしています。また、メンテナンス性と水害を考慮して表紙・裏表紙を含め、すべてのページはラミネート仕様となります。
新しい家族の誕生
さて2018年末、ご夫婦が第一子を授かり、安定期を経て出産する予定が固まってきたので、マタニティフォトと赤ちゃんの等身大フォトをご依頼いただきました。この時点で出産のご予定は2019年3月下旬。
2018年12月、私が個人的な事情で東京出張するタイミングにあわせて、新宿某所にて対面でのお打ち合わせ。もちろん、記念にお二人(+お腹のなかには赤ちゃんも!)のポートレートも欠かせません。
一般的に、結婚後ともなるとお二人でのポートレートが減りがちです。しかし、結婚生活のなかでもロマンスを大切にしていただきたいという想いから、できる範囲で私もお手伝いをさせて頂きたいと思っています。
日常のなかのマタニティフォト
いよいよ2019年3月初旬、出産予定日が近づくなかでマタニティフォトを撮影しました。お打ち合わせの結果、日常の延長のマタニティフォトというコンセプトで、お住まいの地域のローカルな公園にてロケーション撮影となりました。
私は今のところ独身で子どももいませんが、新しい命の誕生を待ち遠しく、楽しみにされているお二人を撮影できたことは、本当にとても幸せなことでした。お子様が大きく成長されたときをイメージしながら撮影しました。
もはや、私は血縁こそないけれども、実質的に親戚のオジサンと化しています………。
父になる戸惑いと母になる喜びがなんだか対照的な一枚になりました。お子様が親御様の心情を理解するには、きっとあと数十年の歳月が必要なのでしょうね。
結婚式のときのご新婦様も確かにお美しい姿でしたが、それに勝るとも劣らない美しいポートレートを撮ることができたのでは、とひそかに自負しています。
いよいよ3月末、第一子誕生の知らせを受けて再び東京へと赴きました。
ご新婦様のご家族様にとっては待望の一人目の孫誕生ということで、ご両家の親御様とご新婦様のごきょうだいが全員集合。撮影日は赤ちゃんが生まれて3日目でした。
そして、曲がりなりにも「家族写真家」を名乗る私にとっては、まさにこの一枚を撮るためにこそフォトグラファーになったといっても過言ではない、ずっと追い求めてきた瞬間、光景でした………。
この写真をベースに、赤ちゃんの等身大フォトアルバム「Mon Bebe(モンベベ)」を制作いたしました。
「Mon Bebe(モンベベ)」とは「私の赤ちゃん」を意味するフランス語から名付けました。
軽くて薄いうえにラミネートによる防水仕様のアルバムですので耐久性・メンテナンス性にも優れており、ご家族様で末永く大切にしていただけるものと思います。
この赤ちゃんがもう少し大きくなったときに、自分が生まれてきたときの大きさを知る驚き、そしてご両親の手のぬくもりを感じていただきたい………。
さらには成人して独り立ちしてからも、その想い出を大切にしてほしい、というご両親のみならず、私の願いも込めています。
全身まだ羊水の痕だらけの赤ちゃんの眼にはしっかりと意思が宿っています。とても神秘的で感動的でした。このような貴重な瞬間に立ち会わせて頂いたことを、心から感謝しております。
さて、2020年2月以来の新型コロナ禍で世界的にウエディングや家族写真のマーケットは大きなダメージを受けました。私も実際、県境をまたいだご依頼をお断りせざるを得ないことがありました………。
新型コロナ禍での新たな誕生
2022年春、お二人から第二子出産予定のお知らせと赤ちゃんの等身大フォトの撮影依頼を頂戴しました。
時節柄、ご両家の親御様が揃ったり、産まれたばかりの病院への出張撮影は叶いませんでしたが、お打ち合わせの結果、退院後にご自宅にて撮影する運びとなりました。
ご両家の親御様がお越しになることは難しかったものの、奥様の妹様も駆けつけられていて、ご一緒に撮影もできました。
産まれてから約3週間程度経っていましたが、その分、赤ちゃんの成長は目覚しく、豊かな表情を多数収めることができました。
第二子のお嬢様にも第一子のお子様と同じように赤ちゃんの等身大フォトを残そうとされる姿勢には、心を打たれました。
一般的に、第一子より第二子、第三子とお子様が増えるに連れて、そのお子様との記念写真を撮る頻度は減っていくのは、子育てあるある、です。
しかし、スマートフォンやデジタルカメラがこれだけ身近なところに普及している現在、本当なら大切な想い出の写真を撮る機会は増えているはずなのです。
その機会、そして実際の大切な想い出の写真をいかに増やしていけるか、フォトグラファーとしてさらなる営業努力が必要だな、と痛感する今日このごろです。
それ以上に、大切なご家族様が全員そろっている想い出を残したい、とご依頼いただいたお客様に、心からのリスペクトと感謝を申し上げます。